抗菌、殺菌・・・.いろいろあってよく分りませんので
調べてみました

抗菌ブームの背景(経済産業省が発行する白書より)

 近年、消費者の間で清潔志向や安全志向が高まり、それに伴い抗菌加工製品の市場は拡大している。そもそも日本人は、他の国と比較して清潔・安全志向が高い傾向にある。
 そのような背景の下、O-157による集団食中毒事件、さらには24時間風呂のレジオネラ属菌問題等、ここ数年細菌にまつわる問題が多発している。また最近では住宅の高気密化に伴い、湿気の増大や換気不足等の原因により、細菌が繁殖したりカビが発生しやすい 生活環境となってきている。

 このような結果、消費者の間で細菌に対する不安感や恐怖心が急速に増大し、細菌への防衛策として、抗菌加工を施した製品が市場で多く販売、消費されるようになった。抗菌加工製品の市場が拡大し始めた当初は、抗菌まな板や抗菌包丁等のキッチン用品や衣料製品がその中心であったが、現在に至ってはこれらの製品にとどまらず、多岐にわたる抗菌加工製品の市場が拡大の一途を辿っている。

■ 「抗菌」の定義(経済産業省が発行する白書より)


  「抗菌」という言葉は、近年新しく使われ出した言葉であり、現在までのところ「抗菌」という言葉について法令や業界、また学術的にも共通の定義あるいは認識がされていない。関係業界団体の一部では、それぞれ独自に「抗菌」および「菌」に関する用語の定義を定めており、各関係業界団体における「抗菌」の定義は、おおよそ「細菌の増殖を抑制する」としているが、その内容の表現には若干の違いがみられる。

抗菌とは?(国民生活センター 報道資料より)
  そもそも「抗菌」とは、どんな意味を持つことばなのだろうか。菌に関する言葉で、よく商品に使われているものに「殺菌」「滅菌」「除菌」「静菌」などがあるが、ほぼ次のような意味で使われているようだ。

  • 殺菌・・・・・微生物を殺すこと
  • 除菌・・・・・洗浄などの方法で、その物から微生物を取り除くこと
  • 滅菌・・・・・その物に存在するすべての微生物を殺す、もしくは取り除くこと
  • 静菌・・・・・微生物の増殖を抑えること

抗菌 とは、文字どおり「菌に対抗する」という意味で、これらのことばの意味もすべて含んで、広い範囲で使われている。はっきりとした定義があるわけではない。

現在出回っている商品にうたわれている「抗菌」は、上にあげた菌に関することばのうちでは作用の緩やかな「静菌」(菌の増殖を抑える)、あるいは静菌によって、においの発生やぬめり・黒ズミを防止するという意味のものが多いようだ。
■ 業界における定義(経済産業省が発行する白書より)

滅 菌 ・・・全ての微生物を完全に死滅又は除去させ、無菌状態にすること。

消 毒・・・ 微生物のうち、病原性のあるものをすべて殺滅・除去してしまうこと。
病原性微生物を死滅又は除去させ、感染能力を失わせること。
人畜に対して、病原性のある特定の微生物を死滅させ、感染を防止することで、すべての微生物の殺滅を意味しない。
病原微生物を化学的もしくは物理的な方法で殺すことであり、非病原菌の残存は容認される。

殺 菌・・・ 微生物を死滅させること。
滅菌が全ての微生物の殺滅を意味するのに対して、単に微生物を殺すことをいう。広く微生物を殺菌すること。
対象物に生存している微生物を死滅すること。

除菌・・・ある物質または限られた空間より微生物を除去すること。
ろ過や洗浄などの手段で、物体に含まれる微生物の数を減らし、清浄度を高めること。

抗 菌 ・・・微生物の発生・成育・増殖を抑制することをいい、細菌のみを対象とする。
製品表面の細菌の増殖を抑制すること。
微生物の増殖を抑制、または微生物の生菌数が時間の経過とともに減少すること。殺菌、滅菌、消毒、除菌、静菌などすべてを意味する。

純理論的、学術的に定義されていないが、おおよそ次の事例に当てはまるときに「抗菌」という言葉が使われる。

  • 1.生活環境に生息する殺菌を対象として、
  • 2.一時的ではなくその効果は数週間から数年、時には数十年持続し、
  • 3.殺菌レベルとしては、制菌、殺菌以下であり、
  • 4.長期にわたり生活環境の微生物学的衛生さを保つこと。


静 菌・・・ 微生物の活動を停止又は低下させ、増殖を抑制すること。
微生物の増殖を阻害あるいは阻止することをいう。